ミュンヘンからニューヨークに飛んでそろそろ4ヶ月。そういえばコロンビア大学客員研究員として一体何をやっているのか、という話題に全然触れていなかったことに気付いたので(これだけでもいかに“研究”していないかということがバレそうだ!)、学期の区切りも良いこのあたりで少しご紹介したい。

私は今学期、同大学国際行政大学院(通称SIPA)傘下の
東アジア研究所というところに籍を置きながら、取材テーマであるサステイナブルなビジネスやライフスタイルのあり方に関わるテーマを扱う授業を聴講していた。これらの授業は、すべてビジネススクールに設けられた
ソーシャルエンタープライズプログラム(社会事業専修)から提供されるものだ。このプログラム、元々は公共団体やNPOの運営を学ぶプログラムとして始まったのだが、現在ではこうした団体での活動を望む学生だけではなく、利益と企業の社会的責任(CSR)の両立に積極的な会社への就職に関心のある学生や、ビジネス的手法による社会問題の解決を目指して事業を興す社会起業家を夢見る学生、さらには途上国での開発支援に関連するビジネスに関心を持つ学生たちのニーズに応えるカリキュラムを提供している。「社会におけるビジネス」「社会起業家」「多国籍ビジネスと人権」「社会部門の戦略的経営」などなど、授業タイトルを見ただけでも、最初に利益ありきのビジネススクールの中で同プログラムがいかに異色の存在かということがお分かりいただけると思う。
ほとんど有名人見たさに聴講していたスティグリッツ教授(ノーベル経済学賞受賞)の授業も悪くなかったが、聞いていて非常に参考になったのは「金融とサステナビリティ」というタイトルの授業。ここでは、京都議定書の発効が決まって注目度が増す二酸化炭素(CO2)排出権取引や、CSRに積極的に取り組む企業に対象を絞った投資形態を総称する社会的責任投資(SRI)、途上国の貧困削減につながるプロジェクトに融資するマイクロファイナンスなど、サステイナブルな地球環境の実現に貢献する金融のあり方について一通り学ぶことができた。担当のブルース・アシャー客員助教授は、普段はCO2排出権取引を利用して途上国での自然エネルギービジネスを支援する
Eco Securitiesという金融コンサルティング会社の社長として世界各地を飛び回るビジネスマン。授業は今学期に始まったばかりだったが、経験豊富なプロから教えてもらえる授業とあってか学生の評判も概して良かったようだ。
先日の最終講義の最後は、授業のテーマになった金融ツールを扱ういわゆる“サステイナブル金融業界”で働くための情報交換セッションとなった。ハーバード大学でMBAを取り、大手投資銀行での経験を経て天職にたどり着いたアシャー氏に言わせると、ここまでのプロセスは「メジャーな金融業界の連中からは疎まれるし、NGOからは嫌われるし、給料は下がるし」という散々なもの。CEOの肩書きの入った名刺を差し出しても、受け取ってもらえなかったこともざらだったらしい。それが今では、彼の会社の事業内容に関心を持った某巨大投資銀行のバンカーから「会いたい」と言われるようになり、京都議定書の発効で社業がにわかに忙しくなってきたという。
何かの形で社会にサステイナブルなインパクトを与える仕事がしたいと考える学生たちを前に、彼は最後にこう言った。
“Trends are your friends!”
決して平坦な道のりではないけれども、追い風に乗って進んで行きたいものだ。
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